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知らないと失敗する?厚底シューズを選ぶポイント

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.13万人(2024年1月31日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「厚底シューズで失敗しない方法」がテーマです。

みなさん、シューズ好きですよね?
そしてシューズ捨てられませんよね?

気持はわかりますよ。
愛着がありますから。

まあ今回その話は置いといて、厚底シューズの選び方についてお話しします。

今や、市民ランナーのスタンダードになったカーボン入り厚底シューズ。
エリートシューズと言ったりします。

こういったシューズを履いて、記録を出している方も多いでしょう。

しかし、市民ランナーにエリートシューズは合っているのか。

今回はこういったところを解説していきます。
皆様が記録を高めたり、怪我を防止したりする上で、非常に大切な項目です。

ぜひ一緒に学んでいきましょう!

厚底シューズを選ぶ注意ポイントは?

まず、カーボン入りの厚底シューズはどういったときに履くのか。

多くの方が、マラソン大会やインターバルなどの高強度トレーニングの時だと思います。
つまり「勝負シューズ」という位置づけです。

今回最も大切なポイントである、この勝負シューズを選ぶときに注意してほしいこと。

それは「自分のパフォーマンスを最大化させてくれるシューズを選ぶこと」です。

近年はハイスペックのシューズが増えてきました。
反発が過去最大のミッドソールやプレートが入っているシューズですね。

そしてエリートランナーだけではなく、市民ランナーの記録も飛躍的に伸びました。

もちろんシューズの功績もあるでしょう。

しかし、シューズだけではなく、SNSの発達により、トップランナーのメニューが公開されたり、現役選手のYouTubeチャンネルでメニューを参考にしたりすることでも、記録が伸びたと考えています。
あとはウォッチの発展なども見過ごせません。

つまり市民ランナーの記録が伸びたのは、なにもシューズのおかげだけではないという事です。

シューズが合っていないとどうなるの?

ただ、特に最近のシューズは履いた瞬間の変化が非常に分かりやすい。
つまり即効性があるのです。

ハイスペックシューズは、その日から一気に速くなります。
まるで魔法をかけられたかの如くです。

なので、そういったシューズに頼る気持ちもわかります。

しかし、「スピードが出る」=「そのシューズが合っている」というわけではありません。

スピードが出るということは、それだけ股関節や足関節に負荷をかけています。
それだけ筋肉にかかるダメージは大きいということです。

ハイスペックシューズを履いて、記録が伸びている方も多いですが、後半まで足が持たない方も非常に多いのではないでしょうか。

スピードが出るからといって、オーバースペックのシューズを選んでしまうと、後半の失速に繋がります。

自分の走力に合っているシューズは、後半の苦しい時に、自分の足の動きをアシストし、助けてくれます。
逆に自分の走力に合っていないと、つらくなった時にシューズを使いこなせず、失速に繋がります。

じゃあどんな方が、カーボンシューズのようなハイスペックシューズを怪我無く履きこなせるか?

身体機能面で言うと、「股関節の筋肉やハムストリングスの筋肉、体幹が発達している方」です。

そして走行時に上手く「その筋肉を使いこなせている方」です。

1-2年前、青山学院の長距離チームでも、厚底シューズを履き始めて股関節回りの故障が多くなったという記事も出ておりました。

股関節周辺の筋肉や、それを支える体幹の筋肉が発達していないと、上手く履きこなせない、という事です。
走力が上がっていくと、殿筋やハムストリングスの筋肉は発達していきます。
走力が高い人ほど履きこなせるのは、こういった理由です。

また、走行時に先ほどお伝えした筋群が上手く使えていないと、シューズを履きこなしているとは言えないでしょう。

走力に問わず、シューズの反発を上手くもらうためには、股関節周辺の筋力強化は必須なので、この辺りのトレーニングは必須です。
市民ランナーであればなおさらです。

シューズ選択の判断の目安は?

話がだいぶそれました。

レースシューズに適しているのは、レ―スペースもしくはレ―スペースよりも速く走った時でも自分のリズムで走れているか、自分が走りたいスピードで走れるか、といった所が目安になってきます。

目安①:ピッチ

リズムの目安はピッチですね。

自分の力でコントロールできない時は、ピッチが上手く回せない、つまり無理やりストライドだけが伸びてしまいます。

もし皆さんが、ガーミンなどで失速してしまったマラソン大会の記録が見られるなら、ピッチの項目を見てみましょう。
マラソン大会後半で失速していると、ピッチが刻めなくなってます。
逆に、後半ビルドアップできたり、失速しない時はピッチが上がっていたり、ピッチを上手く保てています。

なので、「自分の刻みたいピッチで走れるか」が一つの目安です。

目安②:スピード

もう一つの目安はスピードです。

自分に合っているシューズは、自分の走りたいスピード、つまりジョグのペースでもレ―スペースでもスピードコントロールができます。
つまり、シューズではなく自分の足でスピードをコントロールできるという事になります。

自分にとってのオーバースペックの目安として、速くしか走れない、つまりシューズに走らされている、というのも一つの目安にするといいでしょう。

僕の例でお話しさせていただくと、僕がベストを出したときに選んだレースシューズは、adidas社の、タクミセン9という中厚底の位置づけのシューズでした。

Adidasはアディオスプロ3という一番のハイスペックシューズがあります。
確かに、アディオスプロ3の方がスピードが出せるのですが、レ―スペース付近で楽に脚をコントロールできたのが、タクミセン9でした。
なので、タクミセン9を選んだ、ということになります。

タクミセン9はカーボンではなく、カーボンよりも柔らかいグラスファイバー製のロッドが使用されています。
踵のクッションの厚さは33㎜と、アディオスプロ3の39㎜に比べてかなり薄めです。
しかし軽さは180gと軽く、カーボンじゃなくても自分にとって非常に脚まわりがよく、スピードも十分に出すことができたのが、選んだ理由です。

あくまで、僕の選んだ基準です。

しかし、一番のエリートシューズじゃなくても、練習内容や自分の走り、身体の使い方を見直せば、サブスリーはできる、というサンプルになると思います。

自慢や傲慢に聞こえたら申し訳ありません。

しかし、エリートシューズじゃなくても、2時間45分44秒という記録を出せたという事実があるので、一つの参考にしていただければ嬉しいです。

アディオスプロ3などのエリートシューズが不要というわけではありません。

もちろん圧倒的にスピードが出せるシューズの仕様になっています。
つまりシューズのポテンシャルが高いということですね。

そのスピードもうまくコントロールできて、後半の勝負所でしっかり足を残せるくらいの筋持久力や筋力があれば、履きこなせていけますし、僕自身も履きこなしたいと思っています。

ただ、
「一番のハイスペックシューズじゃないと結果が出せない」
「スピードが出せるから、絶対に記録が出せる」
という単純なものではない、ということを覚えておきましょう。

F1カーを一般市民が乗っても事故を起こします。

大げさなたとえですが、覚えておいてくださいね。

厚底シューズを履いた方がいい練習は?

最後に、厚底やプレートの入ったシューズの履きどころを解説します。

シンプルにレ―スペースよりも速く走るときの練習に使用します。
高強度のペース走やインターバル走といった時ですね

極端な方もいらっしゃいまして、「マラソン大会でしか絶対に履かない」という方もいらっしゃいます。
シューズの摩耗が嫌な気持ちは、痛いほどわかります。
高いですからね。シューズ。

でも、慣らすという行為も非常に大切です。

そして、高強度の練習というのは、やるだけではなく結果にも繋げないといけません。
つまり外してはいけないという事ですね。
本番さながらに近いのが、高強度の練習です。
なので、そういった時に使用してシューズの感覚を養うことが、重要という事です。

逆に使ってほしくないタイミングというのはジョギングや低強度のロング走の時です。

こういった練習の時にまで使用してしまうと、カーボンやシューズの強烈な反発ありきでしか走れなくなりますし、何より脚へのダメージが蓄積します。

「自分の持っている力」以上のものが返ってくるシューズだと思ってください。

ジョグや低強度ロング走、リカバリージョグはタイムを追いかける練習ではないので、積極的に反発を受け取る必要もありません。
なので、自分の足を鍛えるという意味でも、使用は控えましょう。

ジョグのシューズについては、別の機会にコラムにまとめたいと思います。

シューズよりも大事なこと

そして、最後といいながら、これが本当に最後です(笑)

走力レベルでいうと、各社のエリートシューズを本当に履きこなせるのはサブ2.5を狙うあたりなのかなあ、と最近は考えています。
あくまで僕の考察です。
もちろん、そのタイムよりも遅くても履きこなしている方もいらっしゃいます。

ただし、シューズに力に頼るよりも、まずは自分の走技術や練習内容、筋力アップに目を向けていきましょう。

走るのはシューズではなく、皆さん自身であり、大切なのは自分の脚を動かすことです。
シューズに目が行き過ぎると、この大事なところから目をそむけてしまいます。

本当に大切な、日々の練習や日々の身体の調整。
それをアシストする役目がシューズということを忘れないでください。

主役はシューズではなく、皆様自身です。

頭の片隅に入れていただければ、幸いです。

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 厚底シューズは自分のパフォーマンスを最大化させてくれるシューズを選ぼう
  • シューズがオーバースペックだとマラソン大会後半の失速に繋がる
  • 自分に合った厚底シューズは ①刻みたいピッチで走れる ②スピードをコントロールできる
  • レース走やインターバル走などレースペースよりも速く走る練習に厚底シューズを使おう
  • シューズはアシスト!自分自身の調整が大事!

出典

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