【マラソン大会の完走に繋がる】「夏」の走行距離の伸ばし方
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高山敦史
パーソナルトレーナー
インフルエンサー
略歴
某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.86万人(2024年7月30日時点)
資格
JATI認定トレーニング指導者
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監修者コメント
高山敦史
今回は「夏に走行距離を増やすメリット」がテーマです。
走っている皆さんにとって、切っても切り離せないこの言葉「月間走行距離」。
「月間走行距離」は多い方がいいのか、少ない方がいいのか。
一度ではなく、何度も考えたことがあるのではないかと思います。
それくらいランナーにとって切っても切りはなせない、そんなワードですね。
今回は「月間走行距離を伸ばすことのメリット」について、さらには、「距離を伸ばすときに注意していかないといけないポイント」も押さえて、解説をしていきます。
なぜこのタイミングなのか。
それは「夏」に走行距離を伸ばすことは非常に重要だからです。
秋のマラソン大会に向けて、今から距離を伸ばしていきたい気持ちがあると思います。
夏こそ、基礎体力作りの総集編!
ここはしっかり学んでいきましょう!
走行距離を伸ばすメリット①:疲労回復力の向上
まず「走行距離を伸ばすことのメリット」についてお話しします。
これは一つに絞れませんが、まず「疲労回復力の向上」が挙げられます。
理由①:毛細血管の増加
走行距離が増えると、体の中にある「毛細血管」の数が増えます。
毛細血管は、読んで字のごとく、髪の毛ほどの細さの血管です。
この毛細血管は、トレーニングを積むことによって増やすことができます。
トレーニングをよく積んでいる方の脚や手を見ると、血管が太く、浮き出ているのがよく分かります。
運動をすることにより、血流が良くなったり、運動をすることにより皮下脂肪が減り、血管が見えやすくなったりと、色々理由はあります。
そして、ランナーの中には太い血管だけではなく、細くて細かい血管が、見える方もいらっしゃいます。
あれが「毛細血管」です。
エリートランナーや、走行距離の多いランナーの足や腕に細かい血管が見えるのは、運動頻度が高く、「毛細血管が目に見えるほど多くなっている」という事です。
もちろん目視で確認できる以外にも毛細血管の数は増えているので、目で見て確認できる方は、相当でしょう。
「血管の数が多い」ことは、それだけ栄養や酸素が全身隅々まで行き当たりやすくなります。
つまりエネルギーの循環も良くなり、疲労も回復しやすくなります。
理由②:ミトコンドリアの増加
「ミトコンドリア」を簡単に説明すると、体内にある「エネルギーを生産」する器官です。
運動量が増えると、ミトコンドリアが成長し、効率よくエネルギーが生み出されます。
「効率よくエネルギーが生産される」ということは、マラソンのような長時間動き続ける競技においては、とても大事なことです。
「パフォーマンスアップ」や「疲労回復」の観点から見ても非常に大切なことです。
「走行距離を増やす」と、体内の血管や細胞にこういったメリットが産まれ、「パフォーマンスの向上」にも繋がります。
前日にロング走を行っても翌日にはケロッとしているあの人。
マラソン大会が続いても、いつもケロッとしているあの人。
フルマラソンを走った翌日にケロッとして朝ランをしているあの人。
どうでしょう。
皆さんの周りにも、こういった方はいらっしゃいますでしょうか。
距離をたくさん走っている方ほど、こういった傾向にあるのは、このような身体の変化があるからですね。
走行距離を伸ばすメリット②:ランニングエコノミーの向上や怪我リスクの軽減
また、走行距離を順調に増やせると、「筋肉・腱・靱帯・骨などが強化」されます。
ランニングとは、「片足で接地するジャンプ」の繰り返し動作になります。
その動作を繰り返すから、当然筋力や人体などは強化されていくのは想像できます。
筋・腱・靱帯が強化されていくと、スピードを出すときに「少ないエネルギーで効率的に走る」ことができ、「故障のリスクを減らす」ことができます。
こうしてみると「走行距離を増やす」ことは、皆さんにとって、より良いメリットを提供してくれます。
走行距離を増やせば増やすだけ速くなる、というのは言い過ぎかもしれません。
しかし、エリートランナーになればなるほど、「走行距離は多い」というのは間違いありません。
これはやはり、「速くなるために走行距離を積み上げる」ことは、非常に重要といえるでしょう。
「夏」のトレーニングについて
また、「夏」という時期は、練習の「強度」、つまり設定は上げられません。
それどころか設定を落とさないといけません。
なので、設定を落として基礎能力を上げていくために、「低強度走」や「中強度走」をメインとした練習に切り替え、走行距離を積み上げることにより、秋のレース直前の、特異的なトレーニングに繋がっていくのです。
夏の時期というのは、「設定を落として走行距離を増やす」という時期になる事を、覚えておきましょう。
「25km以上走る」など、マラソン大会の練習に行う「特異的なロング走」を、繰り返し行うようになるのが「9月以降」になります。
今はロング走ではなく、日々のトレーニングの量を増やしていくことで、身体を作っていきましょう。
ただし、「走行距離」を伸ばすにも、もちろんやり方があります。
「順調に正しく」走行距離は伸ばすことが重要です。
先ほどお伝えした「筋肉や腱が強化される」という話ですが、逆に「壊してしまう」リスクもあります。
怪我の原因の多くは、「ランニングフォーム」と「オーバーワーク」です。
正しく走行距離を伸ばさないと、怪我に繋がってしまいます。
例えば、「月間100km」のランナーが、いきなり「月間1000km」にチャレンジをしたら、まあ間違いなく故障をしてしまうでしょう。
「月間100km」の方からすれば、1000kmのチャレンジはかなりの「オーバーワーク」になりますから。
また、「ランニングフォーム」においても、「着地衝撃」を上手く進行方向に活かせないフォームのまま、距離を積み重ねると、身体へのダメージは蓄積していくでしょう。
こういった所を考えずに「走行距離を伸ばせばいいことだらけ!」と思い、走行距離を伸ばそうとすると、伸ばすどころか、怪我をして走行距離を落としてしまいます。
なので、今からは「正しい走行距離の伸ばし方」をお伝えしていきます。
正しい走行距離の伸ばし方
ポイント①:週に5-10%ずつ伸ばしていく
まず1つ目、「週に5 – 10%ずつ伸ばしていく」です。
基本的に「距離」は「月間」ではなく、「週間」に換算するのがいいかと思います
多くの方が「月曜から日曜日」を1つのサイクルにしているかと思いますので、月間よりも週間で考えることが自然ですよね。
そして「1週間で5 – 10%ずつ増やしていく」ということですが、これはつまり「急激に増やすことはよくない」というメッセージにもなります。
先ほどもお伝えした通り、急激な走行距離の増加は「オーバーワーク」を招きます。
皆さんはもしかしたら、「1週間に5%」というのは少なく感じるかもしれませんが、例えば、「1週間に50km」、つまり「4週で200km」走る方がいたとします。
1週目を5%増やして52.5km
⇒2週目には55.1km
⇒3週目には57.8km
⇒4週目には60.7km
4週間で見ると、トータル26kmほどの距離の増加になっています。
これよりも伸ばしたい場合でも、「10%ほどの増加まで」にとどめておきましょう。
急激な増加は、オーバーワークになってしまうのは、先ほどもお話しましたね。
秋のマラソン大会前に怪我をする人は、夏の暑さに負けて走行距離が伸びず、マラソン大会前に慌てて、30km走などをしてしまうことも1つの原因です。
夏にしっかりと走っておかないといけないのは、こういう理由からもあります。
そして距離を増やすときは、一気にドカンと増やすのではなく、「計画的に」増やしていくことをお勧めします。
この時に、「ポイント練習の距離と日々のジョグの距離、どちらを伸ばすのがいいか?」という質問を受けるのですが、基本は「バランスよく伸ばす」です。
「1週目2週目はジョグの距離を伸ばしたら、3週目4週目はポイント練習を伸ばす」というように、1週間だけでコントロールが難しければ、4週のトータルで見る方法をお勧めします。
1つの考え方として、「その時により重要なものをメインに、増やしたり減らしたりする」、という考えを持っておきましょう。
ポイント②:トレーニング後のメンテナンスの徹底する
そしてもう1つは、「トレーニング後のメンテナンスの徹底する」ことです。
疲労が残りやすい人は、
・ストレッチやセルフマッサージなどの「メンテナンス不足」
・栄養不足による「リカバリーの遅れ」
といったことが原因になっています。
走って強化した後には、回復作業になる「メンテナンス」や「食事」といった所を欠かしてはいけません。
僕の場合は、練習終わりのストレッチや、プロテインやアミノ酸の補給は欠かさないのはもちろんですが、時間がある時は銭湯での温冷交代浴が大好きです。
日々のメンテナンスはもちろん、じっくりと疲労を回復時間というのもまた大切ですね。
皆さんはそういった時間は取っておりますでしょうか?
疲労の回復が追い付いていない方は、日々のメンテナンスを充実させましょう。
特に、今の時期は暑さで疲労が抜けにくいこともあります。
夏の間に走行距離を伸ばすことは、非常に重要なのですが、やはり、疲労が抜けにくい上に走行距離を伸ばしていくと、心身ともに疲弊していきます。
今の時期は、特に「メンテナンスと向き合う時期」といえるでしょう。
ポイント③:ランニングフォームを見直す
そして「ランニングフォームを見つめなおす」ことも、正しく走行距離を伸ばしていく方法の1つです。
一般の方でも、「間違った姿勢」が腰痛や肩コリを引き起こすのと同様に、「良くないランニングフォーム」だと怪我に繋がるのがランナーです。
自分のランニングフォームを修正し、ランニングエコノミーを上げていく。
これも正しく走行距離を向上させるためには大事なことと言えますね。
そして大事なことは、フォームを変えることは重要ですが、「柔軟性や筋力を向上」させていくことでも、ランニングエコノミーを高めていくことが可能です。
ストレッチや筋力トレーニングで、可動域を大きくすることによって、ランニング中の動きが自然と改善されるという事です。
「疲労の回復」にも繋がるストレッチは、「ランニングエコノミーの向上」にも繋がることも覚えておきましょう。
いかがでしょう。
夏の間に走行距離を増やすことは非常に重要です。
秋に間違いなく繋がります。
「正しく」「確実に」、そして「慎重に」走行距離を積み重ねていきましょうね。
監修者コメント
高山敦史
皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!
本記事のまとめ
- 走行距離を伸ばすと、毛細血管の増加やエネルギー生産の増加により、「疲労回復力」が向上!
- 走行距離を伸ばすと筋肉などの強化により、「ランニングエコノミー」が向上し、「怪我のリスク」が軽減する!
- 夏は怪我を防ぐためにも、「設定を落として走行距離を増やす」!
- 走行距離はポイントを押さえて計画的に伸ばすこと!
ポイント①:「1週間に5 – 10%」ずつ伸ばしていくこと!上限は10%まで!
ポイント②:トレーニング後は「ストレッチ」や「栄養補給」をしっかりすること!
ポイント③:ランニングフォームを見直すこと!
出典
- 【YouTube】タカヤマラソンチャンネル 「夏に走行距離を伸ばすメリットと正しい伸ばし方とは?」 より