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【マラソン大会のための身体作り】ランナーが知っていると得をする「心拍数」活用術

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.72万人(2024年6月19日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「心拍数を上手く活用する方法」がテーマです。

さて、トレーニングの目安となる「心拍数」。
これを「知る」と「知らない」では、日ごろのトレーニングの強度設定が大きく変わってきます。

心拍数はトレーニングを行う上で、非常に大切な「目安」になります。

今回は心拍数をより深く学ぶために、必要なポイントを解説していきます。
それでは、一緒に学んでいきましょう!

心拍数とは

「心拍数」でトレーニングを管理することは、市民ランナーの皆さまには随分と身近になっているかと思います。

では、なぜ「心拍数」でトレーニングの強度を管理できるのか。

まず、心臓の役割は、「全身に血液を供給すること」です。
そして、血液というのは「栄養素や酸素を全身に供給すために循環している」といっても過言ではありません。

我々の身体は、ミトコンドリアという器官でエネルギーを生産しているのですが、エネルギーを作るのには、酸素が必要です。

つまり、
①「エネルギー」を作るのには「酸素」が必要
②そしてその「酸素」を運搬するための「血液循環」
③「血液の循環」を促しているのが「心臓」であり、「心拍数」

ということです。

ちなみに、心臓から遠いふくらはぎを、「第二の心臓」と言い、下半身の血流を促進するためには、非常に重要とされています。

「心拍出量」とは

そして、心臓や心拍数の理解を深めるために、「心拍出量」をいう言葉を、知っておきましょう。

「心拍出量」は、心臓が1分間に送りだす血液の総量のことをいいます。

この数値が多ければ多いほど、「全身への栄養運搬と、酸素の運搬能力が高い」ということになります。

また、心拍出量は、
「心拍出量」=「心拍数」×「1回拍出量」
で計算されます。

「心拍数」というのは、言わずもがな、「1分間に何回心拍が拍動するか(bpm: beat per minutes)」。
そして「1回拍出量」というのは、「1回の拍動で送り出される血液量」を言います。

「最大心拍数」とは

心拍のイメージとして、「高すぎる心拍はよくない」というイメージかもしれません。

しかし実際はそうではなく、「心拍を上げられる」ことは、それだけ「全身に酸素を運搬できる能力が高い」ということです。

心臓も「筋肉」です。
ただし、大胸筋や上腕二頭筋と違い、「不随意筋」という種類になります。

つまり自分の意志ではコントロールできません。
自分の意志で心臓の鼓動を早くはできないし、ゆっくりすることもできませんよね。
しかし、「筋肉」なので、当然「筋力」もありますし、「持久力」もある、と考えます。

心臓も、当然使わなければ衰えていきますし、たくさん使えば衰えずに鍛えることもできます。
そしてほかの筋肉同様、加齢により衰え、心拍数は上げにくくなりますが、トレーニングで最大心拍数を強化することができます。

「最大心拍数」の公式として、
・「最大心拍数」= 220 – 「年齢」
があります。

心拍数は年齢が上がると共に、上げにくくなるということですね。

しかし、これはもちろん個人差があって、運動を全くしていないと、いくら年齢が若くても、心拍は上げられなくなりますし、50歳の人が最大200 bpm近くまで上げる例もあります。

これには、個人差や遺伝もあります。
これが才能ということですかね。

僕は年齢が36歳なので、計算上、最大心拍が185 bpm前後になります。
最近は170 bpmを超えるとかなりきつく感じます。

僕のチームメイトで今年40歳になるお兄さんがいるのですが、その方は190 bpm近くまで上げています。
一番若手の19歳のチームメイトは、195 bpmで高強度のペース走をするとのことです。

年齢が若いと、血管に弾力性があり、より効率よく血液を心臓から送り出すことができます。
また、筋肉量が多く代謝機能も高いため、酸素をスムーズにエネルギーに変えることができます。

やはり、「若い」というのは武器であることには間違いありません。
ただ、40歳の方の例を見ても、個人差があるので、年齢だけをみて、悲観しないことが重要です。

そして、「ランナーの最大心拍数」は、同世代の一般の方と比較すると、「非常に高い」傾向にあります。

心拍数を高く保つことは、代謝機能を向上させ、血管の弾力性を保つことに繋がります。
カロリーの消費も上がるので、体重は増えにくくなり、筋力も向上します。

こうみると、ランナーは「健康面で非常にメリットが多い」ということも覚えておきましょう。

心拍数活用法

話をトレーニングに戻すと、トレーニングの強度をあげて「走力を伸ばしていく」には、
・いかにエネルギーを効率よく産み出すか

そして、「エネルギーを産み出す」には、
・いかに酸素をより多く取り込み、全身に運搬させるか
が必要になります。

そして、先ほどお伝えしたことをまとめますと
・運搬能力=心拍出量
・心拍出量=心拍数 × 1回拍出量
ですね。

同じ強度の運動を繰り返していて、「その運動中の心拍数が落ちている」なら、より少ないエネルギーでその運動が行えるようになっている、つまり「自分のフィットネスレベルや持久力のレベルが上がっている」ということです。

トレーニングの目安として、同じ運動をしていても、「楽にこなせるようになる」「心拍が上がらなくなる」というのは、「自分のレベルが上がっている」指標になります。

なにも高強度の練習の強度をあげることだけが、レベルアップの指標ではない、ということを覚えておくと、設定タイムだけにとらわれる事はなくなります。

「安静時心拍が下がる」というのも同じ考え方です。

安静時であっても、生命を保つために、身体に血液循環させます。
つまり「安静時心拍が下がる」ことは、「生命維持のためのエネルギー循環が、低い心拍でできる」ということ。

これは、日々の体調や持久力の向上の目安になります。

お酒を飲んだ翌日や、ハードなトレーニングの翌日は、安静時心拍も高くなるのは、内臓が疲れている、つまり身体の回復のためにエネルギーをたくさん必要とするからですね。

安静時心拍は、自身の日々の生活や、コンディションを把握するのに非常に重要なので、覚えておきましょう。

心臓を強化するトレーニング法

それでは、この「心臓を強化していく」ポイントを最後に紹介していきます。

1回拍出量の強化

まず1回拍出量を強化するには、「最大心拍の60-80%程度の運動」が適しているといわれています。

僕の最大心拍は185 bpmと考えると、111-148 bpmくらいの運動になります。
結構幅がありますよね。

この強度の運動を「持続的に行う」ことが効果的です。

そう。
勘のいい皆さまならお判りですよね。
これは「低強度~中強度走」になります。

低中強度走は、「1回拍出量の改善」に繋がります。

「ジョギングをすれば速くなる」というのは、1回拍出量の改善に繋がり、それが長距離のエネルギー代謝の改善に繋がっているということです。
このことを考えると、日々のジョギングの重要性が身に染みてわかります。

ジョギングが苦手な方が、積極的に行ったところ、5000mやマラソンのタイムが劇的に改善した、というのは、こういった理由からです。

低中強度走の有効性やトレーニング方法についてのコラムがありますので、まだ読まれていない方は是非ご覧ください。

最大心拍数の改善

そして、最大心拍数の改善ですが、こちらは「年齢とともに落ちていく」というのは先ほどもお伝えしました。

しかし、「最大心拍数の85-90%強度のトレーニング」をすることで、加齢による最大心拍数の低下を防げます。
また、この強度での運動に慣れると、同じ強度でも心拍を上げずにトレーニングを行えるようにあります。

こういった反応も、持久力や代謝機能の向上に繋がります。

最大心拍数の85-90%のトレーニングは
・レースペースよりも速いペース走、つまりテンポ走
・インターバルトレーニング
・ファルトレク
・変化走

などの高強度練習となります。

トレーニングで大切なこと

まとめますと、
・「1回拍出量」は日々の低中強度走
・「最大心拍数」は定期的な高強度走
という形で改善していきます。

そして最も大切なことは、この練習を「継続させる」と、徐々に改善されていく、ということを忘れてはいけません。

「1回のジョギング」や、「1回の高強度練習」で改善されるわけではなく、継続することで徐々に心臓も鍛えられるます。

先ほどもお伝えしましたが、心臓も筋肉です。
筋肉は負荷を継続的に与え続けることによって、改善していくということを忘れないでおきましょう。

そのためには、怪我をしないような練習プログラムと、身体のメンテナンス。
そして、身体に負荷のかからないランニングフォームや、筋肉や関節の使い方というのが非常に重要です。

特に、ハードな練習をやり過ぎると、いくら練習を継続しようと思っても、負荷に身体が耐えられず、怪我をしてしまいます。
また、ハード過ぎる練習は、続けるのが精神的に億劫になり、心身ともに疲れてしまいます。

何度かお伝えしていますが、練習で最も大切なことは、「継続すること」。
これを忘れないでくださいね。

腹8分目の練習、そして、やり切れる強度の練習というのを、常に心掛けてください。

さて、いかがだったでしょうか。
トレーニングの質を高めるには、「心拍を把握する」ということは非常に重要です。
ぜひ今回をきっかけに、心拍への意識をより高めていただければと思います。

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 「心拍数」は栄養や酸素の運搬能力に関与する!自分の心拍数を把握しよう!
    ・「心拍出量」=「心拍数」×「1回拍出量」
    ・(目安)「最大心拍数」= 220 – 「年齢」
  • 「心拍数」の上がり下がりで、コンディションや能力のレベルを確認できる!
  • 心筋は下記のトレーニングで強化!
    ・「1回拍出量」:日々の低中強度走
    ・「最大心拍数」:定期的な高強度走
  • トレーニングで最も大切なのは「継続」すること!

出典

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