Profits

【意識すればマラソン大会の記録が変わる!?】低・中強度走の有効性

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.51万人(2024年4月18日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「低・中強度走について」がテーマです。

練習は、毎回レ―スペースや、それよりも速いペースで行うわけではありません。
「高強度の練習」だけで構成されるわけではない、ということです。

練習はレ―スペースよりも遅く走る強度、つまりジョギングのような練習が多数を占めます。

「ここまではわかっている」という方も多いと思いますが、「じゃあどれくらいのペースでやればいい?」と思っている方も多いと思います。

人によっては、ジョギングでもレースペース近い方もいますし、極端に遅い方もいらっしゃいます。

今回は、そのジョギングの効果や、それに基づくペースの設定を紹介していきます。

理解して実践すれば、練習の考えが変わります。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!

ジョギングの定義

まず、「ジョギング」という表現なのですが、「定義があいまい」ということは、僕も何度かお伝えさせていただいております。

一応ジョギングの定義は、「お話ししながら走れるくらいの強度」という定義ですね。

このことから、わかるのは、
・人によってペースは違う
・そこまで強度は高くない
ということでしょうか。

この表現で良くないのは、「上限」と「下限」がわからないことです。

どういうことかと言うと、「お話しできるくらいの強度」ということは、「1km8分でも9分でもいい」という捉え方もできます。
つまり、「どれだけ遅くても」ジョギングであり、「どれだけ遅く走っても」ジョグは効果がある、という捉え方もできますよね。

ここで1つお伝えしておきたいことは、「遅すぎるジョギングは、生理的な効果は望めない」ことです。
つまり、「心肺機能の強化にはつながらない」と思ってください。

もちろんジョギングの目的は様々で、「リカバリーのためのジョギング」や、「練習と練習を繋ぐ、つなぎのジョギング」など種類があります。

ただし、「心筋の強化」や、「下半身の筋持久力の強化」を目的とするのであれば、ある程度の強度で走らないといけません。

ここが盲点になっており、強度が低すぎるジョギングをしている方が非常に多い印象です。

色々なジョギングのペース

リカバリージョグペース

もちろん僕も、リカバリージョグの日は、マラソンのレ―スペースよりも1分半以上遅いペースで走ることもあります。
これは、「心肺機能や筋持久力の強化」の面ではなく、「血流促進」の意味合いが強いからです。

「だったらウォーキングでもいいじゃん。」と思うかもしれませんが、ゆっくりでも走っておくほうが、身体が常に走る準備ができる、言い方を変えると、走る感覚を残すことができます。

「次の練習につなぎやすい」ということですね。
リカバリージョグは、先ほどお伝えした、「練習をつなげる」意味合いが強いです。

ただ、リカバリー目的以外の日のジョギングは、もっと強度を上げますし、距離を走ります。
リカバリージョグは長くて10km走ったらいい方で、5kmぐらいで終わることもよくあります。

「トップ選手でもジョギングは6分を超えるペースで走っている」という意見を聞くこともあります。
これに関しては、「そんな日もある」ということではないでしょうか。

それこそ、リカバリーの日に軽く走るペースは6分を超えてもいいと思います。
先ほどお伝えしたように、回復に繋がりますので、走らないより、翌日の練習に繋がると思います。

ただ、リカバリージョグはメインの練習にはならないでしょう。

アスリートのジョギングペース

GMOアスリーツの吉田裕也選手のロングジョグのペースは3分45秒-4分、走行時間は120-150分だそうです。

「フルマラソンのレ―スペースが約3分」ということと、「LSD並みの時間を走っている」ことを考えても、「レ―スペースから1分しか遅くなっていない」所がポイントですね。

ただ、川内優輝選手は、ジョギングの日は5分-5分30秒で20km前後走る、と本人自ら発言されております。
これは「レ―スペースよりも約2分-2分30秒遅い」設定です。

また、川内優輝選手の月間走行距離は、時期にもよりますが600-750kmとのこと。
プロランナーになりたての頃は、月間で800km以上走っても結果はでなかったが、「月間走行距離を600-750km前後に抑え」、「疲労を残さない」ように意識し、そして「週2回の高強度練習を外さない」ように心がけたところ、結果がついてきた、と本人はおっしゃっております。

これは川内選手のXでも読むことができます。

ジョギングの強度と設定の目安

この、お二人の選手のジョギングの設定はそれぞれで異なりますが、僕の中では「ジョギングは低強度走~中強度走」の位置付けになります。

これから「ジョギング」は徐々にこの言葉に変わっていくと、僕は思っています。

・低強度走は走りながら回復できる強度
・中強度は回復はしないけど、翌日に疲労も残らない強度

という定義です。

もう少し砕いた言い方をすると、体力ゲージがあって、「100が満タン」とします。
インターバル走など高強度練習をした翌日は、おそらく「50」くらいに減っているでしょう。

そして、その「50に減っている状態」で低強度走をすると、翌日には体力ゲージは「80くらいまで回復している」という強度が低強度走です。
そして、その「80の状態」で中強度走をすると、翌日は「80のまま」、つまり「回復はしないけど、翌日に疲労も持ち越さない」強度が中強度走です。

そして、その翌日にインターバル走をすると、また体力ゲージは「50まで減る」といったところでしょうか。

つまり
・低強度は翌日に回復
・中強度は翌日に維持
・高強度は翌日に低下

という3つに分類されます。

そして、我々市民ランナーに置き換えると、低強度走が「ジョギング」、中強度走が「速めのジョギング」といったところでしょうか。

そして、低強度走や中強度走は有機的代謝、つまり酸素を使ってエネルギーを産み出す代謝能力の向上が望めます。

有機的代謝は、わかりやすく言うと、「長距離を走るときの代謝方法」です。
「長距離を走っているときは、有機的代謝という身体の仕組みを使ってエネルギーを産み出している」と思ってください。

これの反対の言葉が無機的代謝、短距離走を走っているときのエネルギーを生み出す方法ですね。

言いたいことは、有酸素運動をするのに必要な能力が「有機的代謝」で、有機的代謝を鍛えるトレーニングが「低・中強度走」ということです。

有機的代謝については、こちらのコラムにもう少し詳しく説明してますので、是非合わせて読んでください。

低・中強度走の効果

低強度走や中強度走は、「有機的代謝の向上」に加えて、長い時間や長い距離を走るので、「筋持久力の向上」、つまりフルマラソン大会後半の足作りにも適しています。

人によっては、この低強度走と中強度走を繰り返すだけでも、フルマラソンの記録を向上させることができます。
もちろんそれには、それ相応の走行距離は必要になってきますが…。

こういった方が、「フルマラソンはジョギングだけでも速くなる」と言うのですね。
なので、「ジョギングだけで速くなる」というのは、一概に間違いではありません。

ただし「低強度」と「中強度」のジョギングを使い分けています。

「ゆっくりとしたペースのジョギング」だけではないことをお伝えしておきます。

先ほどお話に出てきた川内優輝選手ですが、「週2回の高強度の練習を確実にこなすことで調子が上がってきた」とおっしゃっています。
なので、「高強度の練習を軸に、メニューを組まれているのかな」と思いました。

おそらく、日々の低強度のペースを上げてしまうと、疲労が残ってしまい、高強度の練習を質が落ちてしまうので、低強度を「レースペースよりも約2分-2分30秒遅い」、5分-5分30秒に設定されているのだと思います。

あくまで僕の推測です。
「筋持久力と有機的代謝を高め」ながら、「高強度の練習をきっちりこなせる」、走行距離と強度設定にされている、と推測します。

低強度走でも有機的代謝や、筋持久力の強化ができるのであれば、「中強度走は必要ないのでは?」と思うかもしれませんが、僕は中強度走こそ大事だと思っています。

ペースが速い方が、筋持久力の強化にもつながり、有機的代謝の向上も大きいです。
低強度走よりも「トレーニング効果が高く」て、尚且つ「翌日に疲労が残子らない」、という点では、中強度走の方がコスパは非常に良いわけです。

このコスパというのは、市民ランナーには非常に重要だと僕は考えます。
多くの方は、仕事や家事育児をしながら走っているので、やはりコスパのいいトレーニングは大事です。

もちろん、ハードな練習が続いているときには、回復させるための低強度走は必要です。
しかしそうではない場合は、中強度走、つまり「速いペースのジョギング」を入れてあげるのがいいでしょう。

また、僕が中強度走を行って感じるのは、「中強度走はフルマラソンのフォームに近い」です。
なので、フルマラソンのフォームのランニングエコノミー向上にもつながってきます。

こういった面でもコスパがいいですね。

低・中強度走の設定の目安

気になる「低強度走」と「中強度走」の設定についてお話します。

<設定の目安>
【低強度走】
・フルマラソンの45秒から1分遅いのが低強度走
・心拍数は120-140程度
・体感としては、楽である

【中強度走】
・フルマラソンのレ―スペースから20-30秒ほど遅いのが中強度走
・心拍数は140-150程度
・体感としては、楽ではないが、ずっと走れる

低強度より遅いジョギングは、「血流促進」が目的のリカバリージョグになるでしょう。

あくまで目安ですが、ご参考までに!

1週間のメニュー例

それを基に、メニューを組むとこうなります。

月曜日 積極的リカバリー
火曜日 中強度走60分
水曜日 高強度(ポイント練習)
木曜日 積極的リカバリー
金曜日 低強度走60分
土曜日 高強度(ポイント練習)
日曜日 低-中強度90-120分

こちらもあくまで参考です。

「ジョギング」にもいろいろな考え方があります。
大きく2つ「低強度走」と「中強度走」に分けてみると、より取り組みやすく、効果もわかりやすいです。

そして効果を理解し、考えを深めることにより、得られる効果も大きいものになります。
日々の練習の効果を引き上げるためにも、今回の内容がきっかけになれば、と思います。

明日からのジョギングに、早速活かしてみてくださいね!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 「ジョギング」の「上限」と「下限」は曖昧。遅すぎるジョギングでは効果が望めないので注意すること!
  • 低・中強度のジョギングは「有機的代謝」や「筋持久力」を強化できる!
  • 目安としてレースペースを基準に、強度を設定してみよう!
  • ジョギングは「低強度走」と「中強度走」の2つに使い分けてメニューに組み込もう!

出典

  • URLをコピーしました!