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【マラソン大会の走力アップ!】過酷な夏のトレーニング正しい取り組み方

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.83万人(2024年7月18日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「夏のトレーニングの注意事項」がテーマです。

今年の夏は記録的に暑くなると聞いています。
そして暑さにより、パフォーマンスというのは下がってしまいます。

でも、それは当然のことで、大した問題ではありません。
夏場の過酷な環境で、正しくトレーニングができれば、秋に走力を伸ばすことは可能ですし、それは毎年、僕自身も実感していることです。

しかし、毎年毎年不安になるのも事実。

今回は、そんな皆さまへ、「夏場に正しいトレーニング」ができるよう、紹介していきます。

秋にレベルアップするためには必須!大切な内容です!
一緒に学んでいきましょう!

「夏」が「過酷」な理由は?

まず「夏の時期」の特徴です。
夏の時期は年間でも「一番過酷」な時期です。

過酷な理由としては、
①気温
②湿度

この2つです。

過酷な理由①:気温

「気温」が上がると、「空間の酸素量」は反比例して薄くなります。

「気温が上がると、酸素量が減る」ということは、呼吸をしても酸素を体内に取り込む量が少なくなります。

長距離を走るときに、エネルギーを産み出すには「酸素」が必要ですから、気温が高いと、エネルギーを産み出すことが難しくなり、「過酷な環境」を産み出していることになります。

過酷な理由②:湿度

もう一つの理由は「湿度」です。

「湿度」と「空間の水分量」

「湿度」が上がると、「空間の水分量」が上がります。

この「空間の水分量」が上がることでも、空気中の「酸素濃度」は落ちてしまいます。

夏場に走っていて、「溺れるような息苦しさ」を感じたことがあるかと思います。
僕は夏のランニングを「陸で溺れる」と言っているのですが、その理由は、湿度の上昇によるものと考えています。

「湿度」と「発汗」

そして、「湿度」が上がることで起きる、もう一つの弊害は、「体温」が下がらなくなることです。

気温が上がり、体温が上がると、身体は体温を下げようとする機能が働きます。
それが「発汗」です。

「パフォーマンス」の低下

体温が上がると、発汗し、汗が蒸発する時に、体温が下がります。
「汗が乾いて寒くなる」というのは、まさに発汗の作用と言えます。

ところが、夏場は湿度が高いので、汗が蒸発しません。
つまり、汗をかいても体温が下がらないのです。

身体は運動をするのに「適した体温」があります、発熱や熱中症になると、パフォーマンスが上がらなくなります。
まさに運動をするには「体温が高すぎる状態」だからですね。

夏の運動中に、体温が上がり過ぎると、パフォーマンスは保てなくなります。
特に梅雨の時期は、湿度がとても高いため、汗が蒸発せず、体温が下がりません。
結果、「パフォーマンスの低下」に繋がります。

「血液循環」の低下

また、発汗量が増えることにより、体内の水分も失われます。
これは命の危険に関わることはもちろんですが、血液の水分量が失われることにより、「血液の粘性」が上がってしまいます。
「発汗により血液循環が悪くなる」と覚えておきましょう。

血液の循環が悪くなるので、心臓が頑張って血液を循環させないといけなくなります。

結果どうなるか?

そう、心拍数を上げて、血液を循環させないといけなくなります。
「気温が上がり、湿度が高いと心拍数が上がりやすくなってしまう」ことになります。

一説には、「気温が20℃を超えると、1℃上がることに心拍が1bpm 上がる」とも言われています。
もちろん個人差があることだと思いますが、気温の上昇とともに、心拍数を上がりやすくなるということです。

そのため、強度が高くなり、「夏場の低強度走」は、「冬の中強度走」くらいの効果があると言っても言い過ぎではありませんね。

「睡眠の質」の低下

「気温」が高いと、「汗の量」は必然と上がります。
これは運動中だけではなく、睡眠時でも同じことが言えます。

室温や体温が高いと、「発汗」による「水分不足」が起こります。
それによる「心拍の上昇」で、交感神経が優位になり、「睡眠の質の低下」につながります。

「睡眠の質が下がる」という事は、リカバリーの観点でも見過ごすことはできません。
「夏場のリカバリー能力の低下」は、こういった所からも表れます。

夏というのは、シンプルに考えて「気温」と「湿度」が高いだけです。

しかし、この2つの項目が高いだけで、身体の色々なところに変化が現れます。
そのため、夏の環境というのは「過酷」で、「トレーニングには注意が必要」になります。

では、「夏のトレーニング」は、いったい「どういった所」を注意すればいいのか?
「トレーニング編」と「リカバリー編」に分けて解説をしていきます。

「夏」の注意点:トレーニング編

まず、「夏のトレーニング」のテーマは「強度を落として距離を走る」です。

先ほどから何度もお伝えしているのが、そもそも「過酷」なため、「強度」を上げることが困難だということ。
そのため、設定のペースを落とすことによって「強度を調整」することが大切です。

「設定ペースを落とすことによって、トレーニング効果は得られるのか?」という疑問が出ると思いますが、これに関してはご心配なく。
効果はちゃんと「ある」と言い切れます。

夏の時期に大切にして欲しいことは、数値設定ではなくて、「体感的」にどう感じるかです。

何度もお伝えしている通り、今の時期は心拍も上がりやすく、トレーニングの環境によって、4-6月に出来ていたことが、出来なくなるのが普通です。

夏の時期に数値設定を追いかけることは、精神的にも肉体的にも追い込まれてしまいます。
それよりも、自分の「体感」を大切にしましょう。
設定を落としても、「身体に負荷を感じる」ことができれば、十分に効果を得られるのが、夏のポイントです。

「夏」の低強度走、中強度走

「低強度走」や「中強度走」は、いつも行っているよりも、10%ほど設定を落としても大丈夫です。

いつも、「1km 5分」で低強度走をしていた方であれば、「1km 5分30秒」当たりで同様の効果が得られます。

イメージは、春の「低強度走」、例えば、リカバリージョグが、夏では「中強度走」になる、というくらいの目安でしょうか。
僕は体感的にそのような形で進めています
タイムでいうと、「30秒遅くするくらい」だと思ってくださいね。

「夏」の高強度走

「高強度走も10%ほど設定を落とすのか?」というと、設定を落とすことは間違いないですが、高強度走に関しては、「ある程度設定を大切にする」ということも重要です。

10%ほど落とすと、設定が甘くなり過ぎてしまい、トレーニングの効果として少し物足りなくなります。

「1km 4分」でインターバルをしたとすると、10%強度を落とすと「1km 4分24秒」です。

日中の一番日差しが強いときであれば、この設定でも仕方ないですが、早朝や、日が沈んでからであれば、強度は「落とし過ぎ」と言えます。

高強度トレーニングにおいては、強度はタイムだけではありません。
・レストの長さ
・距離の長さ
・本数
これらのトータルで調整することをお勧めします。

例えば、春に「10kmのペース走を1km 4分30秒」で行っていたとしたら、この夏の設定は、「3000m×3本 設定を1km 4分40秒、レストは1km 6分のジョグを2分」というように、分割走にして行うようにしましょう。

分割走にすることで、走行距離を減らすことなく、強度のコントロールを行うことができます。
これでもきつければ、「1500m×6本」や「1000m×8本」にして行いましょう。

「高強度トレーニング」と「低中強度走」の違いは、「ちゃんと設定を決めて行う」という点にあります。

「低強度」や「中強度」は、その日の体調によって、ペースを前後することはよくありますが、「高強度」は、「設定をクリアする」ことも大切です。

しかし、むちゃな設定にチャレンジしてしまうのではなく、夏は「夏用の設定」を覚え、夏のトレーニングの組み方を覚えて、正しい設定でトレーニングを行いましょう。

「夏」の注意点:リカバリー編

では最後に「リカバリー編」です。
「リカバリーが遅い」ことは、夏の特徴として、知っておかないといけません。

先ほどお伝えした、「室温の上昇による睡眠の質の低下」以外にもリカバリーを低下する要素があります。

「冷たいもの」を取った後は「温める」

練習後は特に、「冷たいもの」を欲します。
「体温が上がっている」のと、「身体から水分が抜けている」からですね。

夜の練習後に、冷たい水分をたくさん摂取すること、アイスクリームを食べることは、至高の極みです。
ただし、量を摂取しすぎると、内臓が冷やされ過ぎて、「内臓の機能」が低下します。
その結果、リカバリーが遅れます。

しかし、体温が上がったままだと、疲労は抜けませんので、冷水をしっかり摂取することは非常に重要です。
ですので、体温を下げるために冷水を摂取した後、落ち着いたら、入浴したり、温かいものを摂取したりすることも、内臓の疲労を和らげるために、非常に大切です。

「睡眠の質」を高めるため「入眠準備」を行う

夜のランニングの後、「夏は特に眠れない」という方はたくさんいらっしゃいます。
そういった方は、睡眠のために室温を少し落とし、入眠に入る1時間前に、湯船から上がれるように、入浴時間を調整しましょう。

身体から放熱されるタイミングで、「眠気が来る」と言われています。
眠くなると、手のひらが暖かくなるのは、身体の末端から放熱さているからですね。

なので、「暑いから」といってシャワーだけにしてしまうと、逆に「睡眠の質」を落としてしまいますので、入浴するよう心がけてください。
ただし、「表面」の体温を下げることもまた重要なので、湯船から上がった後は、水シャワーを浴びましょう。

個人的には、最近サウナにはまっています。

血管が拡張して、血流が促進され、疲労も早く回復しますし、冷水風呂で体温を落とすことができるので、まさに夏場にぴったりです。

ただ注意が必要なのは、たくさん汗をかくサウナは、体力もそれなりに使います。
なので、練習前や、ハードな練習予定の前日は、控えた方がよさそうです。

「栄養のあるもの」を摂取する

「栄養のあるもの」を摂取することも非常に重要です。

夏は水分の摂取量が上がるため、胃液の量が増えます。
このことが一因となって、食事の量は落ち、栄養を摂れず、リカバリーが遅れます。

「糖質」や「タンパク質」を、普段よりも多めに摂取することはもちろん重要です。

それだけではなく、「旬のもの」、特に夏野菜を食べることはとても大切で、「身体にこもった熱を取り除いてくれる」役割があるそうです。

ですので、「すいか」、「なすび」、「きゅうり」などを積極的に摂取するのが非常に良いです。
意識的に摂取しましょう。

僕もこのことを教えていただいてから、夏野菜を食べましたが、確かに瑞々しくて、水分がたくさん入っているなと感じました。
身体がスーッと冷える感じです。
ぜひ夏野菜を積極的に摂取してください。

水分を多めに摂取しないといけないので、食事量がどうしても減少しがちです。
栄養のあるものを、意識的に摂取しましょう。

「水分」だけでなく「ミネラル」も補給する

最後は「水分補給」についてお話します。

汗は「水分」だけではなく、「ミネラル分」も一緒に放出されます。
補給が水分だけだと、ミネラルを補給できないので非常に危険です。

夏場の水分補給、特にトレーニング中は「ハイポトニック飲料」を活用しましょう。

ハイポトニック飲料は、人間の体液より薄く作られているスポーツ飲料です。

発汗後は体液が薄くなっているので、ハイポトニック飲料が適していて、より吸収しやすくなっています。
発汗が激しい運動中や運動後、そして熱中症気味と感じているときは、ハイポトニック飲料をできるだけ活用しましょう。
例えば、経口補水液や、ヴァームやアミノバリューなどがハイポトニック飲料にあたります。

ハイポトニック飲料がない場合は、アクエリアスなどでも構いません。
水を摂取する場合は、塩タブレットなどと併せて摂るようにしましょう。

いかがでしょう。
夏に必要な項目をぐっと詰め込みました。

今年も厳しい暑さです。
対策を行って、みんなで乗り切っていきましょうね!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 「夏」は酸素濃度が低く、発汗しても体温は下がらず、心拍数も上がるため「過酷」な環境になっている!
  • 「夏」のトレーニングは「強度を落として距離を走る」こと!
    【低中強度走】10%ほど設定を落として行うこと!
    【高強度走】分割走にして、決めた「夏」の設定を、ちゃんとクリアすること!
  • 「夏」はリカバリーが遅いので、しっかりと対処すること!
    ・トレーニング後は冷たいものをしっかりと摂取し、摂取後は温めること!
    ・入浴はしっかりと行い、湯船から上がった後は水シャワーを浴びること!
    ・室温を落とし、入浴を入眠の1時間前に終わらせて入眠すること!
    ・旬のものを食べて、栄養をしっかりと摂ること!
    ・トレーニング中は水だけでなく、ハイポトニック飲料を活用して、ミネラル分も摂ること!

出典

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