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疲労を溜めたまま走ってない?マラソン大会後の練習再開タイミング

この記事を監修したのは

高山敦史

 パーソナルトレーナー
インフルエンサー

略歴

某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数9.38万人(2024年3月18日時点)

資格

JATI認定トレーニング指導者

URL

https://takayamarathon.com/profile/

監修者コメント

高山敦史

今回は「マラソン大会後の練習再開について」がテーマです。

さて、いよいよシーズンも終盤戦。
メインレースが終わった方も多いのではないでしょうか。

僕も先日の大阪マラソンで、今シーズンのガチレースは終了です。
完全に気が抜けております。

そんな中で、「マラソン大会後何日くらいから走り始めるのがいいのか。」

これを気にしている方も多いでしょう。

マラソン大会翌日から走りだしている人もいれば、1か月たってもまだ疲労が残っている気がする。
というように個人差ありありです。

今回は、「疲労が抜けるのはいったい何日かかるのか。」
フルマラソン後の疲労について説明していきたいと思います!

マラソン大会後の疲労は、いつ回復する?

まず、「フルマラソン後の疲労」ですが、完全に疲労が抜けきるのは、どれくらいかかるのでしょうか。

これは、結論、1週間たてばフルマラソンを走る前の身体の状態になっています。

これを聞いてどう思いました?
僕個人としては、「意外と早く抜けるんだな」と思いました。

疲労を測る指標として、
・筋損傷(いわゆる、筋肉痛)
・VO2MAXテスト
・自覚的な疲労度
が挙げられます。

指標①:筋損傷からみた回復タイミング

筋損傷が起こっていると、体内で炎症が起こっていることになるので、「血液検査」などにも影響が出ますし、また、筋肉が出せる「最大筋力」も落ちます。

この辺りの数値がどれくらいで回復するのか、というところも一つの目安です。

血中の「クレアチンキナーゼ」という数値が「筋損傷の程度」を測るのに有効と言われています。

このクレアチンキナーゼは「マラソン大会2日後までは増加しているが、1週間経過すると、マラソン大会前の数値に戻っている」と言われています。

なので、筋損傷に関しては「1週間程度でマラソン大会前と同程度に収まる」ということです。

また、筋肉の伸縮テストの結果もあり、筋損傷が起こっていると、この筋収縮テストの結果が悪くなります。

「マラソン大会2日後は、筋収縮テストの結果はマラソン大会前に比べて悪くなるが、マラソン大会7日後にはマラソン大会前と同程度に戻っている」とのことでした。

なかには1週間では回復しきらない筋肉もありますが、ほとんどの部位が1週間後には「マラソン大会前」と同じ数値に戻っています。

このことから、筋損傷はだいたい1週間間で収まることになります。

指標②:VO2MAXテストからみた回復タイミング

次にVO2MAXですが、このテストは色々な意見がありますが、一言でいうと「1週間後にはVO2MAXも元の指標に戻っている」とのこと。
むしろ、2週間後にはVO2MAXは増加しているというデータもあります。

筋肉痛に関しても同様で、「1週間後には筋肉痛を感じない」というデータがほとんどです。

これらの結果から、「マラソン大会1週間後にはほとんどの数値が元に戻っている」と言ってもいいでしょう。
もちろん、個人差はあるということが大前提です。

というのが理論上ですが、じゃあ実際のところはどうなのか?

「1週間でばっちり!」という方も、「1週間じゃあ…」という方もいらっしゃるでしょう。
ここが非常に重要で、「じゃあ1週間たったら練習開始だ!」と全員は言えないわけです。

この理由をいくつか挙げていきます。

疲労が回復しない理由①:マラソン大会前からの疲労

まず一つ目は、「マラソン大会前から疲労が溜まっている」ことが挙げられます。

先ほどまでのデータは、あくまで「マラソン大会前」の数値に戻っていると言っていますので、そもそも「マラソン大会前から疲労がかなり溜まっている状態」が考えられます。

マラソン大会までに厳しい練習を積んできた皆様は、マラソン大会までは、交感神経優位で、さも疲労が全快したかのように思います。

しかし、マラソン大会が終わって、緊張の糸が切れ、身体がリラックスモードに入ると、一気に疲労を感じます。

つまり、マラソン大会前からすでに疲労は蓄積しているから、1週間でマラソン大会前の数値に戻っても、そもそも「疲れが溜まっている状態だった」ということです。

このパターンは非常に多く、マラソン大会が終わっても1か月以上、疲れが抜けないという方も珍しくなく、特にこの時期に多いように思います。

それは、「シーズン通して溜まった疲労」が、メインレースが終わり緊張の糸が切れたタイミングで、「すべての疲労が襲い掛かってくる」と思ってください。

そういったケースの場合は、やはり休息をしっかりとるべきですね。
プロランナーの方でも、こういったケースは多くあると聞いたこともありますので、我々市民ランナーにも当てはまります。

疲労が回復しない理由②:マラソン大会の過酷な環境

2つめは「マラソン大会の環境が過酷」であることが挙げられます。

例えば、
・極寒のマラソン大会
・雨のマラソン大会
・尋常じゃない暑さのマラソン大会

環境が過酷であればあるほど、疲労の蓄積も大きくなります。
寒さや雨は体温を奪い、それだけエネルギーを消耗しますので、疲労も蓄積しやすくなります。

そして気温が高い環境であればなおさらです。
皆さま、夏は疲労が抜けにくかったですよね。
それと同様で、暑い中でのマラソン大会はさらに疲労が残りやすいです。

僕も今年の夏に走った北海道マラソンの後は、2週間たっても全然走る気力が起こらず、かなり長く疲労を引きずった記憶があります。

このように、マラソン大会のコンディションによっても、疲労の残り方は大きく変わります。

後は、撃沈レースをしてしまうと疲労は残ります。

撃沈、つまり後半に失速をするマラソン大会は、限界まで出し切っていることが多いです。
撃沈ではなくても、後半に失速をしながらフィニッシュしたマラソン大会もですね。

こういった場合も疲労は長く続くでしょう。

なので、「1週間たつと疲労が抜ける」という理論はもちろん納得ですが、「1週間で疲労が抜けない」ケースも十分に存在します。

逆に、フルマラソンやウルトラマラソンを走り慣れている方や、普段から総走行距離が多い方は、フルマラソンのダメージは溜まりにくい傾向にあります。

慣れの部分も大きいですし、何より毛細血管の量が多くなっているのでリカバリーの速度も早いです。

僕の周りでも、ウルトラマラソンをバンバン走る人や、月間走行距離が多い人はリカバリーの速度はとても早く、2週連続フルマラソンでもケロッとこなします。

僕もそこまでではありませんが、月間300kmをコンスタントに超えてくると、疲労の回復は速くなったと感じます。

なので、「疲労回復を早めたい方」は、適切に総走行距離を伸ばしてくことがポイントになります。

また、「2時間半で走るランナー」と「4時間で走るランナー」では、1つのマラソン大会の疲労の蓄積も全く違います。

マラソンというのは、どんなタイムであれ低強度を長時間続ける運動です。
それは「2時間半の方」であろうと、「4時間の方」であろうと変わりません。

ということは、「運動時間が長い方が、1回のマラソンの強度は上がり、疲労はたくさん溜まる」ということも覚えておきましょう。

僕の考えた結論は、1週間というのはあくまで「理論上」。

この理論上ということを抑えるのはとっても大切なのですが、個人として思うのは1週間たった時に「自分の身体がどう感じているか。」です。

・まだ筋肉痛がある
・局所的に痛む筋肉や関節がある
・食欲がまだ増加傾向
・日中の眠気が強い
・疲れは取れているけど、走る気になれない
・疲れは取れているけど、走ると身体が思い

このような症状がある場合は、まだまだ疲労が溜まっている証拠です。

シーズン途中でまだマラソン大会が控えている方は慌てるかもしれませんが、シーズンが終わり全レース工程が終了している方は、身体はもちろん、気持ちも疲れがたまっていると思います。

マラソンのシーズンというのは「10月から」です。
ということは半年以上、気持ちを張り詰めている方も少なくありません。

なので、シーズンが終わって1か月ほどは「気持ちを休める」という意味でゆっくりとした時間を過ごすことも大切です。

僕も先ほどお伝えしましたが、2月末でシーズンは終わり、3月はゆっくりと過ごし、4月からトラックシーズンに備えて始動する予定です。

皆さんも、マラソン大会の疲れやシーズンの疲れ。
自分の身体を労わるという意味でもしっかり向き合ってくださいね。

まだシーズンが終わっていない方も多いですが、皆さん、今シーズンナイスラン!
しっかり自分をほめて休むことも練習です!

監修者コメント

高山敦史

皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

本記事のまとめ

まとめ
  • 理論上、マラソン大会1週間後には、「マラソン大会前」の状態に戻る
  • ただし、1週間後、「自分の身体がどう感じているか」が重要
  • 1週間たっても疲労が残っている場合は、疲労がとれるまで、しっかり休息をとること

出典

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