【ランニング練習】マラソン攻略のためのペース走
高山敦史
パーソナルトレーナー
インフルエンサー
略歴
某大手スポーツクラブでパーソナルトレーニングの顧客数3年連続1位。
その後、独立。ランナー専門のパーソナルトレーナーとして活動し、【YouTube】タカヤマラソン チャンネルにてランニングメソッドを配信中。チャンネル登録者数8.8万人(2023年12月4日時点)
資格
JATI認定トレーニング指導者
URL
監修者コメント
高山敦史
今回は、マラソンを攻略するために必須な「スピード持久力を磨くペース走」がテーマです。
ここでは、フルマラソンの大会に向けた、ペース走の練習方法をお話しいたします。
秋のマラソン大会が終盤にかかり、冬のマラソン大会に繋げるためにも、ここはしっかり学んでいきましょう!
ペース走について
まず、「ペース走」とは「一定の距離を決められたペースで走る練習」のことを言います。
とてもシンプルで王道の練習ですね。
こう聞くと、「一定のペースだったらどんなペースでもいいの?」と思いますよね。
まさしくその通りで、「どのペースでもいい」というのが答えになります。
6分を一定のペースで走る練習を「6分のペース走」と言ったりします。
ただ、そうなると意味が広くなりすぎますね(笑)
なので今回はポイント練習、つまり強度の高い練習としてのペース走に限定して説明したいと思います。
ポイント練習のペース走の効果
ポイント練習としてのペース走の効果は、LT値の向上が大きな効果だと思います。
LT値というのは、乳酸性閾値の略になります。
こちらの表をご覧ください。
こちらは横軸が運動強度、縦軸が血中の乳酸の濃度です。
ある一定の運動強度を超えると、血中の乳酸値が大きく上昇します。
この大きく上昇するタイミングを閾値といいます。
乳酸について、「疲労物質ではない」と最近では言われています。
これについては割愛しますが、一つ言えることは「乳酸の発生量と身体の疲労の蓄積は比例する」ということです。
つまり血中の乳酸量が多くなればなるほど、疲労は蓄積していると言えるでしょう。
話は少しそれましたが、ポイント練習としてのペース走はこのLT値の向上が最大の効果でしょう。
分かりやすく説明すると、
・LT値を超える運動=無酸素運動、運動形態としては「短距離」
・LT値の超えない運動=有酸素運動、運動形態としては「長距離」
になります。
つまりマラソンなどの長距離運動は、いかに「LT値を超えない強度で動き続けるか」が最大のポイントです。
そして、このLT値をペース走で向上させることができます。
LT値が向上するということは、運動強度が上がっても乳酸が発生しにくくなる、つまり長時間の運動を行い続けることができるということです。
なので、マラソンやハーフマラソンを走るには、ペース走はとても大切だということです。
マラソン大会に向けたペース走の練習方法
ここからは具体的な練習方法を説明します。
ペース走で大切なことは2つです。
①設定ペース
②設定距離
①設定ペース
まず、設定ペースですが、明確な基準はありません。
レ―スペースに慣れるためにレースペース走を行う方もいますし、レ―スペースよりも速いスピードに慣れるためにハイペース走を行う方もいます。
閾値が正確にわかればいいのですが、閾値は特殊な機械を使わないと、測定することができません。
レースペース走
まず、レースペース走についてお話します。
レースペース走は、LT値は向上しにくく、心臓の機能の強化になります。
そして、効果はジョギング、つまりレースペースより30秒ほど遅いペースで走るときと「差はない」、とされています。
なのでレースペース走というのは、身体の生理的な機能向上よりも、「レ―スペースに慣れる」、「レースペースで長く走れた」というメンタル部の強化の側面が、高いと言えるでしょう。
そのため、レースペース走はトレーニングに入れるよりも、ターゲットにしているマラソン大会の前に20-30キロのレースペースで自信をつけるために行います。
ハイペース走
そしてLT値を向上させるおススメはハイペース走です。
レ―スペースよりも10-15秒早く走ります。
一般的に閾値は、「フルマラソンのレ―スペースよりも10-15秒速いペース」や「ハーフマラソンのレ―スペース」と言われています。
もちろん、目指すタイムが一緒でも、個人によって体の生理的な反応は違います。
レ―スペースより10秒速くても、余裕がある方はいますし、余裕がない方もいます。
ただ、意外と言われているのは、レ―スペースよりも15秒早く走れていれば十分、という意見ですね。
このペースで15キロや20キロほど、ハーフマラソンなどを走ることができていれば、スピード持久力は十分という見方です。
このペースを15キロや20キロで走り切ることができているなら、スピード持久力は問題なく、エネルギー補給や下半身の強化に問題があるのでは、と言われています。
②設定距離
ハイペース走のやり方は、時間で言うと20分以上60分まで、距離でいうと8km以上15kmまで、で行います。
そして、重要なポイントはスピードだけではなく「距離や時間も増やす」ことです。
例えば、8kmのペース走の設定をクリア出来たら、次は「2秒速く」や「3秒速く」、というようにペースを速くする方が多いです。
決して間違いではないのですが、フルマラソンの事を考えると、ペースを上げるのではなく、距離や時間を増やす方法もあることを知っておきましょう。
8kmをクリアしたら、次は「9km」や「10km」、というようにです。
フルマラソンの特異性を考えたときに、速く走ることも大切ですが、一定のペースで長く楽に走る、という事も重要です。
自身のスピード持久力が上がっている、という目安は、「同じ距離やペースが楽に感じる」と感じたときです。
強度を見直す場合、設定を速くする方法と、距離を伸ばす方法があることを知っておきましょう。
③ペース走の強度コントロールの注意点
やってしまいがちなのが、「設定ペースだけで強度をコントロールする」方法です。
スピードだけに偏ってしまいがちです。
恐らくですが、速く走れた方が気持ちがいいですし、また、同じ距離を速く走ると練習が速く終わります。
時間に追われる市民ランナーの皆様は速く練習終わりたいですよね(笑)
なので、強度も上がって時短で練習できるため、ペース設定を上げてしまいがちなのかなと考えます。
もちろん、設定を上げることは悪いことではありません。
ただし、すでにフルマラソンのレ―スペースよりも15秒以上速く走っているのであれば、スピードよりも距離を伸ばして、長い運動時間に対応していくようにしましょう。
時間や距離の上限は、だいたいですが、15kmもしくは60分前後でしょう。
このお話をきいて、「どちらを伸ばそう」と気になったかもしれませんが、まずは導入として8-10kmをレースペースの5~10秒ペースをあげるところから始めてみましょう。
そこから、距離や時間、設定タイムを伸ばしていけばいいと思います。
最終的にはレ―スペース-15秒ほどのペースで15km以上走れるところまで持っていくのが理想ですね。
大事なのは、距離だけ・時間だけ・設定ペースだけというように、1つの項目だけで強度設定をしないようにしていきましょう。
簡単にやり方をまとめると、
① 8kmレ―スペースを5~10秒速いペースからスタート
② クリア出来たら、距離とペースを均等に伸ばしていく
③ 最終的にレ―スペース-15秒を15km走れるようになれればOK
以上がマラソン対策のペース走です。
今シーズン、まだまだ始まったばかりです。
レースで結果を出すために、ぜひともこのペース走を取り入れてみてくださいね!
監修者コメント
高山敦史
皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!
本記事のまとめ
- ポイント練習のペース走はLT値が向上する
- マラソンは「LT値を超えない強度で動き続けること」がポイント
- マラソン大会のためのペース走は
①LT値を向上させるハイペース走で ②スピードと距離を均等に伸ばし
③レ―スペース-15秒を15km走れるようになる ことを目標とするべし
出典
- 【YouTube】タカヤマラソンチャンネル 秋のスピード持久力向上に必須!ペース走の正しいやり方 より