ランナー必見!水分補給に関して
監修者コメント
高山敦史
本日は、夏の必須テーマ「失敗しない水分補給」です。
夏に悩む課題の一つ。そう「水分補給」ですね。
夏は冬に比べて水分補給をする頻度や量が格段にあがります。
タイミングや量。スポーツドリンクか水か。一体どれが一番ベストなのか。
悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、水分補給をどのようにすれば効率よく行えるかを解説します。
夏を乗り切るためには大事な項目ですから、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
水分補給について
まず、水分補給を行わないとどうなるか?
人間の体はほとんどが水で構成されている!というのは聞いたことあるかもしれません。
実は人間の身体の水分の構成率は60-70%。つまり、半分以上は水分で構成されていますね。
この水分は、尿や便、呼吸や汗をかくことによって体外に排出されます。
一般的に1日2~2.5ℓの水が体外に排出されているといわれています。
もちろん、汗をかくランナーはこれ以上の排出量となるでしょう。
そのため、この排出された水分の量は補給する必要があります。
体と水分に関して
では、水分の補給が追い付かず、身体から水分が不足するとどうなるか?
■水分不足時の症状
・2%失われるとのどの渇き
・3%失われるとぼんやりや食欲不振
・5%失われると頭痛
・10%以上失うと痙攣
最悪の場合、死に至る事もあります。水分不足に関しては、十分に注意が必要です。
つまり、のどが渇く前から水分は失われますので、「のどが渇く前に水分補給をする」というのは理にかなっています。
このような症状を起こさないためにも、大量に汗をかくランナーは水分補給に関して注意が必要です。
ちなみに、汗の成分は99%が水で残りの1%に「ミネラル・カリウム・アンモニウム・マグネシウム・カルシウム」などが含まれてます。そのため、水分補給で最も大切なのは「水を摂取すること」と言っても過言ではありません。
しかし、水が大切と聞いて、「じゃあ水分補給は水だけでいいじゃん」と思ったそこのあなた!ガリガリ君くらい甘いです!
低ナトリウム症
汗を大量にかくと、脱水症状のほかに「低ナトリウム症」というものがあります。
これは、体内の塩分濃度が低下するときに起こる症状です。(ナトリウムが不足した状態)
低ナトリウム症がおこると、めまいや倦怠感・嘔吐などの症状が見受けられます。
低ナトリウム症も脱水症状と同様に最悪の場合、死に至ることもあるので注意が必要です。
この低ナトリウム症が起こる原因は、夏に大量に汗をかいたときに水分と一緒にナトリウムも体外に排出されることにあります。水分補給でナトリウムを補給せずに水ばかり飲むと…体内の塩分濃度がどんどん薄くなってしまって低ナトリウム症に陥ってしまうのです。
ここで質問です!真夏のランニングの発汗量はどれくらいか分かりますか?
ざっくりとした目安ですが、1時間のランニングを行うと1000mlの汗が出ると言われています。
これは季節関係ない発汗量になります。
僕自身、かなり汗をかく方ですが1時間走ったら体重が2キロ落ちていることはざらにあります。
※ざらではない、は頻度が低い意味になります。
おそらく、夏場は1時間のランニングで1.5~2ℓの汗が出ていると思います(笑)
もちろん、個人差によります!
では、仮に2000mlの汗をかいたとして、その時に失われる他の成分は下記になります。
▶水分が1980ml失われると…
ナトリウムが1.7g
カリウムが0.4g
カルシウムが0.03g
マグネシウムが0.002g
注目すべきはナトリウムです。これは食塩相当量でいうと4.4gらしいです。
次に代表的なスポーツドリンクポカリスエットの100ml成分表を見てみましょう。
そして汗の100mlの成分表と比較してみます。
ポカリスエットの成分/100ml
ナトリウム:49mg
カリウム:20mg
カルシウム:2mg
マグネシウム:0.6mg
汗の成分/100ml
ナトリウム:86.3mg
カリウム:22.2mg
カルシウム:1.6mg
マグネシウム:0.13mg
こうみてみると、ポカリスエットが汗とかなり近い成分であることが分かります。
スポーツ中に水分補給をする際には、水よりもスポーツドリンクを摂取する方がいいですね。
しかし、夏の発汗の量を考えても、残念ながら、ナトリウム…そう!塩分はスポーツドリンクでは補えません!
なぜなら、500mlのポカリスエットを飲んでも、250mgのナトリウムしか補給できませんので!
そのため、夏場のトレーニング時には、スポーツドリンクに併せて、塩タブレットを摂取するのをお勧めします。
水分補給の方法
では、ここからはどのようにして水分補給をすればいいかについて説明させて頂きます。
・飲料の種類
・水分補給のタイミング
・温度
飲料の種類
これが一番気になるところです。同時に一番大切な事でもあります。
飲料の種類は大きく3つあります。
①水
②アイソトニック飲料
③ハイポトニック飲料
水はわかりますが、アイソトニック飲料とハイポトニック飲料。
初めて聞いた方もいらっしゃいますよね。アイソトニック飲料とハイポトニック飲料は両方ともスポーツドリンクです。
アイソトニック飲料は、アクエリアスやポカリスエットなどコンビニや自販機などでもよく見かける種類。
ハイポトニック飲料とは、ヴァームやアミノバリューといった薬局などでよく見かけるような飲料です。
では、2つの飲料の違いとは何か?
それは「アイソトニック飲料の方が人間の体液に近く、ハイポトニック飲料は人間の体液よりも薄い」という事です。
これを聞くと…「じゃあ、人間の体液に近い方がよさそうだから、アイソトニック飲料って最強じゃん」と思いますよね!?
これは、半分正解です。
確かに、平常時ならアイソトニック飲料が人間の体液に一番近くて吸収が良いのです!
しかし、運動中やランニング中といった、特に夏場の大量の汗をかく時にはそうとも限りません。
先ほどもお伝えしましたが、汗にはナトリウムやカルシウムも含まれていますので、汗をかくと身体の中のナトリウムの量やカルシウムの量は低下し、体液自体も薄くなっています。
そのため、運動中に関しては体液よりも薄く作られているハイポトニック飲料の方が浸透圧が低いため吸収に優れているという事です。
また、経口補水液というのは聞いたことあると思います。
これは、ナトリウム(塩分の量)を高くすることで、水分と塩分を素早く補給できるようにしております。
日常において、早急に塩分を補給しないといけない場面は滅多にないと思いますが、激しい脱水状態や大量に汗をかく夏場の練習に使うのは有効な手段と言えるでしょう。
つまり、夏の練習中の水分補給をする際には、ハイポトニック飲料か経口補水液を選ぶのがベストです。
逆に、アイソトニック飲料は平常時の体への吸収率が良い上に、糖分も豊富に入っています。
そのため、トレーニング前の補給はアイソトニック飲料がお勧めです。
運動中に水を選ぶ場合は、塩飴や塩タブレットを併せて摂取するようにすれば、低ナトリウム症を防ぐことが出来ます。
そのため、水を摂取する場合は、+αを準備するのがベストです。
まとめると…
運動前は、アイソトニック飲料。運動中は、ハイポトニック飲料。
特に運動をしない時の水分補給は、水で十分ではないでしょうか。
運動中に水を選ぶなら塩飴などを同時に取りましょう。
水分補給のタイミング
水分補給のタイミングとして、まずは運動前に飲むことをお勧めします。
そして、運動後にも飲みましょう。運動前と運動後はエネルギー補給も兼ねてアイソトニック飲料がおススメです。
そして、運動中はのどが渇いたタイミングで行う水分補給では遅いです。
のどの渇きを感じているなら、脱水が始まっているからです。
そのため、あらかじめ飲むタイミングをある程度決めておくことをお勧めします。
例えば…
・何キロ走ったら飲む
・何分に1回飲む
・インターバル走の際、レストごとに飲む
ちなみに、一気に飲むよりはこまめに飲むのがべストです。
タイミングが分からない場合は、自分で給水ポイントを決めておくのが良いですね。
やってはいけないのは「のどが乾いたら」や「ちょっと朦朧としてきたら」です!
水分補給の合言葉は、「先手必勝」です!
飲料の温度
最後に温度。飲料の温度は吸収率に関係します。
5度から15度の冷水が一番吸収率が良いです。次に常温水、温かい水の吸収率の順番です。
そのため、夏場の練習中や練習直前や直後は温度が低いものを選びましょう。イメージとしては自販機の温度が理想的です。
ただ、普段は冷たい水を脳と内臓を冷やして内臓の活動を低下させてしまい、内臓疲労を引き起こす原因となるので、普段はできるだけ常温に近い温度を飲みましょう。
そして、起床直後は体温が低く、活動には最適ではない体温です。
そのため、体温を上げるためにも起床直後はお白湯を1杯飲むことをお勧めします。
運動前後や運動中は冷水。普段は常温。起床直後はお白湯をお勧めします!
場面場面によって使い分けることが大切です
以上です。いかがでしょう。
これを飲めばいい!この温度が良い!というものではありません。
場面や状況にあったものを選ぶことによって、より効果的で練習を乗り切れる水分補給ができます!
適切な補給をすることで、パフォーマンスを落とすことなく走ることができます。
夏の練習、水分補給を制して乗り切りましょう!
監修者コメント
高山敦史
皆さん、いかがだったでしょうか?
僕のYouTubeチャンネルでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!
本記事のまとめ
- 一般の方より汗をかくランナーは排出された量以上に水分補給を積極的に行うことが大切
- 水分補給において塩分補給を怠ると低ナトリウム症になる可能性が高まるので塩分量も意識する
- 状況によって、適した飲料、適したタイミング、適した温度の飲料を補給する必要がある
出典
- 【YouTube】タカヤマラソンチャンネル 【走る前に必ず見ろ!】夏のランニングの正しい水分補給の知識 より